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借金がかさんでしまい返済が困難になったとき
借金が嵩み返済が難しくなった場合の対応には、大きく分けて、任意整理と法的整理があります。
法的整理の中で個人が利用するものとしては、個人民事再生と自己破産とがあります。
以下では、これらについてあらましを解説します。
任意整理とは
任意整理とは、債務者が依頼した弁護士が、債権者と任意に交渉して借金の減額を図ったり支払期限の延長リスケジュールを図ったりします。
法的整理と異なり、交渉する債権者を選んで任意に交渉出来る仕組みです。
金融会社の金利がかなり高かった時代には、取引履歴の開示を受けて利息制限法に基づいて引き直し計算することによって、大幅な減額が図れたり、過払い金の返還を受けることができたりして、大いに成果を上げることが出来ました。
個人民事再生とは
個人民事再生とは、個人を適用対象とする民事再生手続です。
小規模個人再生(民事再生法第13章第1節)と給与所得者等再生(民事再生法第13章第2節)とがあります。
それぞれについて、民事再生法において利用要件など詳細に定められています。
住宅資金貸付債権に関する特則(民事再生法第10章)を併せて利用することによって、住宅ローンの返済を続けながら他の借り入れの減額を図ることが出来るので、利用する方が多い仕組みです。
自己破産とは
自己破産とは借金の返済が出来なくなった債務者が、裁判所に対して自ら申立てをして破産する仕組みです。
「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」も目的のひとつなのです(破産法第1条)。
個人の債務者が自己破産の申立てをして要件を満たせば破産手続開始決定がされ、更に、免責許可の申立てに対して免責決定が確定してはじめて責任を免れ(破産法253条)債務者に対する強制執行は効力を失います(破産法第249条第2項)。
この免責決定を取得できるかどうかが極めて重要なのですが、破産法では、免責しない場合を規定しています(破産法第252条)。
財産の隠匿や浪費・賭博などは免責不許可事由の典型です。
ただ、裁判所は「破産手続開始の決定に至った経緯その他の一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」(破産法第252条第2項・裁量免責といいます)とされています。
諦めずに、弁護士に相談されることをお勧めします。
免責決定が確定してから7年間は免責申立しても免責決定が出来ない仕組みになっている(破産法第252条第1項第10号)ことには注意が必要です。
まとめ
今回は借金が嵩み返済が困難になった場合に、どの様な対応方法があるのかについて解説しました。
お悩みの方は早めに弁護士に相談することをおすすめします。